12月議会に出てきた2つの議案
メディアでも大きく取り上げられましたが、12月議会には2つの大きな議案が提出されてきました。結論から言うと、2案とも否決(※)となりました。
公約の内容、提出方法、そして私が下した決断の根拠についてご報告したいと思います。
※高齢者・障がい者に対するタクシー補助制度については正しくは、否決ではなく提出内容を削除する修正案が可決、修正案以外の個所については原案の通り可決となりました。
高齢者・障がい者に対するタクシー助成制度
議案として上がってきたのは4月から運用をしたいと考えている高齢者・障がい者に対するタクシー補助制度の周知ならびにチケット作成に関する用紙代、印刷費56万5000円でした。
詳細な運用方法については、条例ではなく規則・要綱等で実施するため、今回の印刷費が可決されたら自動的に4月からの実施について追認したことになる。そんな内容でした。
対象者と金額
高齢者
●75歳以上で運転免許を所持していない方
障害者手帳保持者の以下の対象者で運転免許を所持していない方
●身体障害者手帳1級、2級
●精神障害者保健福祉手帳1級
●療育手帳まるA、A
1セット500円のタクシーチケット20枚(計10,000円分)
※1回の乗車に1枚まで利用可能
深まる疑問
交通手段の確保は多くの地域で耳にしてきた要望です。公共交通としての議案であれば、結果はまた変わったと思います。けれど1つ疑問が残りました。
現在来年の9月完成を目標に、700万の予算を出して公共交通網形成計画を策定しているところです。この中身には地域資源の確認が含まれています。資源を確認して何が足りないかの調査を行っているときに、新しい資源を導入したら計画そのものが意味にないものになるのではないかという事です。
9月の完成の時に、将来的な制度導入の支援策としてタクシー補助が出導入なら意味が分かります。でもなぜ4月なのか???
その答えは驚くべきものでした。この制度は公共交通支援対策ではなく、
福祉施策である
と言うことでした。
他市もすでに導入している制度で、東かがわ市も導入したいと考えたそうです。あくまで外出支援であると・・・
私は高齢者福祉の専門家として、旧町時代より行政側と市民の間に立って様々な意見を交わしてきました。行政が福祉施策というのであればその見地に立って見極めなければいけない。その思いでこの制度を検討していきました。
納得が出来ない1つの要因
既に東かがわ市には福祉バスという福祉施策があります。今回はそれに次ぐ交通手段対策という福祉施策でした。例えば福祉バスが障害者手帳4級まで可能にもかかわらず、タクシー助成は重度の方に限るとしています。
重度の方に外出支援を行いたい。
重度の方というのであれば、寝たきりに近い人もいるはずです。外出にはストレッチャーや大型のリクライニングが必要な方もいると思います。そこでこのチケットが利用可能な事業所を確認しましたが、そういった専用の福祉車両はどこも有していないんです。
外出してほしい。だからチケットを配布する。でもその為に必要な車両がなければ利用は出来ない。
なんておかしな制度なんだろう・・・
そこで次の質疑を行いました。
隣の自治体には専用の福祉車両を有した事業所がある。そこと交渉はしたのか。
結果は
相談していない
といういう事でした。
5200万以上の予算を追認させるような議案提出にかかわらず、これほど基本的なことが検討されていない・・・これではまるで
本気で支援を考えているのではなく、タクシーチケットを渡すためだけの制度ではないか!
このように困った方の相談に乗って、行政と交渉してきた立場の人間としてこの制度は今のまま進めてはいけないと強く感じました。
しっかりと内容を見つめなおして、きちんとしたものを作らなければいけない。そう思い、今回この予算を削除した修正案に賛成いたしました。
本会議では、この制度の問題点について討論をさせていただきました。
福祉施策を軽く考えているのではないか
僕が議員に立候補した大きな要因がここにあります。
もらえる人からすると、まず実施して追加していけばいい。そう思う人もいるかもしれません。でもその基準に当てはまらなかった人、当てはまるにもかかわらず今回のような理由で使えなかった人が、心からその内容を理解し、納得できる回答を作るのは、制度を作る行政の仕事であり、それを承認する議員の仕事だと思っています。
この制度がよりいものになるよう、今後も働きかけを行っていきます。
討論の読み原稿です。僕は書いた文書の通り読むことはせず、これをたたき台にしながらその時感じることを含めて言葉を紡いでいます。
どういう思いで討論に立ったか。たたき台ですが、ぜひ読んでほしいと思います。
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